今回は、18歳未満の子どもがいる家庭(母子世帯、夫婦世帯)において、24時間において、家事や育児、仕事の時間割合について比較されている研究論文を取り上げる。
<自分なりにまとめてみた>
先行研究では、有業のシングルマザーが家事時間、睡眠、休息といった自分の時間やボランティアの時間、余暇時間を犠牲にして、仕事時間を長くしていると考えられている。
それらを踏まえて、今回の論文では、国際的に、母子世帯、夫婦世帯の間に、平均生活時間がどの程度隔たりがあるのかについて着目した。なお、有償労働と通勤時間を合わせた時間を「仕事時間」、子どもの世話をしている時間を「育児時間」、育児以外の家事や介護、買い物をしている時間を「家事時間」とした。1日は24時間=1440分である。
左のグラフより、北欧に比べて、日本が仕事や家事、育児といった生活時間に多くの時間を割いていることがわかる。日本はいずれにおいても北欧が500分未満であるのに対して、500分を超える時間を割いていることがわかる。また、日本の特徴としては、仕事中心の生活時間となっていることである。
(出典:「田宮・四方(2007). 母子世帯の仕事と育児ー生活時間の国際比較からー」から、日本とスウェーデン、フィンランド、ノルウェーの3カ国を囲う加筆を行なった。)
<感想>
24時間という中で、仕事や家事、育児を行い、かつ、睡眠や休息をとる必要がある。つまり、生活時間が長くなれば、必然的にそれ以外に割いている時間を短縮しなければならない。仮に短縮した時間が睡眠や自分の時間であれば、疲れや精神的な余裕のなさへとつながるのではないだろうか。また、自分たちが生活をし、子どもを育てていくために仕事をしていたはずが、長時間労働のために、生活や育児時間を維持することが難しくなるのは、とても悲しい。仕事時間あたりの単価を上げ、短い時間でも同じくらい収入を得ることができれば、必要な休息や睡眠をとりながら、自分自身の生活や育児を行うことができるかもしれない。ただ、時間がないために職業訓練などを受ける時間が取れないというのも現実問題としてあると思われ、レスパイトの可能性について今後考える時には、仕事時間と収入という視点も大切だと感じた。
引用先
田宮 遊子・四方 理人(2007). 母子世帯の仕事と育児ー生活時間の国際比較からー
季刊・社会保障研究,Vol.43 No.3,219ー231.
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